第4章 手を引かれる
「私も…」
緊張で喉がカラカラになる。だけど小さく呟いた声を絞り出し口を開いた。
「…初めて七海君に会ったとき、きっとこの人に恋をするんだろうなって思ったの」
背の高い七海君を見上げると、いつもの冷静な彼の表情とは違い。七海君は驚いたように目を見開いている。
「それってさ、きっと私も一目惚れだったんだと思う」
なんて言うんだろう…確かに顔がカッコイイなとか雰囲気が素敵だなとはもちろん思ったんだけど。それだけじゃなくて…もっと七海君の事を知りたい…もっと自分の事も知ってほしいってそう思った。
…こんなのもうとっくに初めから七海君の事を好きだったんじゃないか。あの日あの時、あなたを見た瞬間から。
顔が熱くなっているのが分かる。だけれど、不思議と七海君に対する素直な気持ちがスラスラと口から溢れ出した。
「さっきの七海君の言葉、すごく嬉しかった」
驚いているのに、優しげに微笑み頬を染める七海君がどうしようもなく可愛く見える。
この顔は、私だけが知ってたら嬉しいな。
「……私も、七海君が好きだよ」