第24章 引越し
“もしもーし、おはようリン。起きてた?”
「起きてたよー、荷物片付けてる!」
スマホを片手に悟と電話をしながら段ボールや紙袋へと荷物を詰めていく。
今日はついに悟の家へ引っ越しの日だ。つまり私と悟は今日から一緒に住むということ。
“僕もうそろそろ家出るんだけどさ、渡し忘れてたものがあるから取りに来れる?”
「うん分かったー!じゃあ今行くね」
持っていた服を段ボールへと詰めそのまま急いで悟の部屋へと向かうと、リビングで丁度白い目隠しを巻いている悟が立っている。
「おはよー」
「おはよ、今日もリンは可愛いねっ」
まるで外人みたいな事を言いながら私に気が付いた悟がこっちへと歩いてくると、チュッと私のこめかみ辺りにキスを落とす。
「渡し忘れって何?」
「ああ、これこれ!」
悟は黒い上着のポケットから何かを取り出すと、それを私の手のひらへと乗せる。
手の上に乗ったそれを見ると、そこにはゴールドの鍵に可愛らしいひよこのキーホルダーが付いていた。
そうだ、今日から一緒に住むのにすっかり鍵をもらい忘れてた。
「あははっ、このキーホルダー悟が付けてくれたの?可愛いね」
ひよこをつまみニッコリと笑う私をみて、悟もゆるりと口角を上げて微笑む。
「リンに似てると思ってつい買っちゃったんだよね〜」
「え〜私に似てるかなぁ?」
悟がこの風貌で、このひよこのキーホルダーを買ったのかと思うと少し面白い。思わず想像しながらクスクスと笑う私に、悟はぽんぽんっと優しげに頭を撫でると。
「今日からだね、僕達が一緒に住むの」