第4章 手を引かれる
「ッハァ…ハァ」
息を切らしながら全力で校舎までの道のりを走り抜ける。
そんな私の顔は未だにカッと赤く染まっているに違いない。それは全速力で走ったせいなのか。それともさっきの悟との出来事のせいなのか…
もう訳がわかんないっ
いきなりあんな事するなんてっ
少女漫画みたいって何さ、そんなので悟はあんな簡単にキスするわけ?まぁ確かに悟は顔すごい整ってるしめちゃくちゃモテるのも知ってるけど。私にもあんな事するって事は、普段からあんなに簡単に好きでもない女の子とキスしてるって事だよね…
悟からしたら対した事じゃないのかもしれない。私だけか緊張して真っ赤になって。悟の柔らかい唇に…色っぽい瞳に…優しい声に…ドキドキして…何か馬鹿みたいじゃん。悟はただふざけてただけなのに。
ッだからって、そんな簡単に許せる事じゃない!だって私は初めてだったんだから。
「……ん〜〜〜…悟のバカッ!!」
猛ダッシュしながら辺り一面に響くような大きな声で思わずそう叫んでしまった。
そんな私を偶然遠くから見た傑が「リン?そんな走って一体どうしたんだい?」と声をかけてくれたけど、私はそれに「何でもないー!」と返事をして、足を止める事なくそのまま傑の前から走り去った。