第22章 揉め事
ブーブーブーっとスマホがアラーム音を響かせながら震えているのがわかる。
しかもそれは何故かズボンのポケットからで、私はゆっくり目を開くとポケットからスマホを取り出しそれを止めた。
目の前にはスースーと気持ち良さそうに眠っている悟の姿。
そっか私…昨日飲んでて悟が迎えに来てくれたんだ。良かった、今回はちゃんと記憶ある。
私を抱きしめている悟の腕をそっと解くと、起こさないようにゆっくりとベッドを抜け出す。
だけどベッドが軋む振動で起こしてしまったのか、目をうっすらと開いた悟が「リン…もう起きたの…?早いね」と少しだけ掠れた声で話す悟の色っぽい声が私の耳へと届く。
「起こしちゃったね、ごめんね。今日から出張だから早く出ないといけなくて」
ふわふわと乱れた悟の白髪の髪を撫でながら、未だぼーっとしている悟の顔を覗き込む。
「…出張?僕聞いてないんだけどぉ」
「昨日の帰り間際に急遽決まったんだ。本当は冥さんが行くはずだったんだけど、ご指名の任務が入ったらしく私が変わりに行くことになったの」
「そうだったんだ…何処に何泊?」
目をつぶりながら私が撫でている手に触る悟は、なんだか猫みたいで可愛い。
「静岡に2泊だよ、何か美味しいお茶のお菓子買ってきてあげるね」
そんな私の言葉にピタリと一瞬動きを止めたかと思うと、悟は寝転んでいた身体をガバッと起こし大きく目を見開いた。
「は?今静岡って言った!?」