第22章 揉め事
「なんとか日付け変わる前には帰れるか…」
あれから三件の任務をこなし、時刻は23時半。
あぁー疲っかれた。
任務自体は大した事ないんだけど、毎度移動と時間に手間がかかるんだよね。
「ご自宅でよろしいでしょうか?」
運転をしている伊地知がミラー越しに僕を見てくる。
「うん、頼むよ」
タブレットで明日の任務の資料を見ながら、そういえば2時間ほど前にリンへ送ったメッセージの返事が来ていない事を思い出す。
「今日の僕の夜ご飯なーんだ?」と、まぁそんなどうでも良いような、些細な内容を送ったんだけど…それでもいつも必ず返信をくれるのに未だに来ていない。
任務は終わったと言っていたけど…と思いながら。そういえば硝子と飯に行くって言ってたけどまさか酒を飲んでるわけじゃないよな…とそんな事が頭をよぎる。
いや、でも飯言ってたし…飲むなら飲みに行くって言う…か…?というか…硝子がいて酒を飲まないなんて事あるのか?普通に考えたらないよな。
そんな事を今更考え始めたらキリがなくて。
もしかしてリン、以前遅くまで飲むときは僕に連絡してって言った事忘れてるのかも。付き合う前だったし。もう一度ちゃんと言っとけば良かった。
もしも僕がいない所で…あんなふうに酔っ払ってたとしたら…そんな想像をしたら気が気じゃなくて。
僕は慌ててスマホを取り出すとリンへと電話をかけた。
耳の奥ではプルルルルっと呼び出し音が響いている。
出ない…
硝子に電話するか。そう思いイラ立ちながらも電話を切ろうとした時だった。