第22章 揉め事
御三家のうちの一つ
五条の本家
「悟様、私どもの考えも理解して頂きたい。メリットのある家柄の娘と結婚し五条を支えて頂かなくては」
「は?この僕が君達を理解?そんな無駄なことしてる暇なんてないよ、それこそ理解に苦しむね。そもそも当主は僕、結婚相手は僕が決める」
「悟様!お待ち下さい!そんな勝手など許されませんぞ!」
室内に大きく響き渡る声を無視し、そのまま廊下へ出るといつぞやの女とすれ違う。
コイツ、僕に無断でまだここらをうろちょろしてたのかよ。
「悟様、やはりあの方があなた様の大切な方だったのですね。ですが今も昔も結婚相手はこのわたくしです。そこをお忘れなきよう」
高専二年のとき、リンをここで見かけた時の事を言っているのはすぐに分かった。
「あんたさぁ、本当懲り無いね。僕の目の前に現れるなって言わなかった?それとも忘れちゃったのかな。あと、もしアイツに何かしたらただじゃおかねェから」
目を合わせることもなく、女を素通りすれば、僕はそのまま五条の門を潜り車へと乗り込んだ。
「…はぁぁー」
どうして自分の実家に行くたび、こんなイライラしなきゃならないんだよ。
ドカっと乱暴に後部座席へと座れば、運転席にいる伊地知がビクリっと肩を震わせて「お疲れ様です、五条さん」と声をかけてくる。
僕はそれに「んー」とだけ答えると、サングラスを外し白の目隠しを瞳に巻いた。
今日は突然五条の本家からの呼び出しがあった。まぁ正直いつもならそんなクソ面倒な事無視するんだけど。
どうやら今回は、どこからか僕とリンが付き合っていると言う事を耳にしたらしい上の爺いどもからの呼び出しだった。
当主は僕だ、いちいち爺いの戯言に付き合うほど僕は暇じゃない。だけどリンの事を言われるなら僕も黙っているわけがなく…今日はこうしてわざわざ馳せ参じたってわけだ。
まぁやっぱりクソくだらねェ爺いの戯言だったけど。