第20章 心配症
「せっかくお風呂入ったのにまた汗かいちゃったね、あとでもう一回入ろっか」
私の頬をそっと撫でながら優しく笑う悟。
「うん、そうだね。入ろぉ」
そんな悟を見つめながら、まるで幸せな夢でも見ているみたいな感覚になる。
「そういえば、僕もリンも明日は休みだから」
「え?休み…?」
不思議そうに首を傾げる私に、悟はニイッとイタズラに笑うと「休みだよ〜さっき伊地知に絶対僕達に任務入れるなって連絡しといたから」と続ける。
もしかして、さっき悟が言ってた伊地知君への頼み事ってこれだったの…?
「平気なの?今頃伊地知君とんでもないことになってるんじゃ…」
私だけならまだしも、悟が突然休むってなったら大変なんじゃないだろうか。でも元々は悟が頑張って出張を早く終わらせてきたから平気なの…かな?
「僕にキレられるよりマシだと思って、伊地知も今頃必死になってるだろうね〜」
まぁ確かに…悟が怒ったらどうなるか分かったもんじゃないもんね…
「だから明日はどこか出かけよっか♪付き合って初めてのデートだよ」
頬杖をつきながら私を見つめる悟の碧色の瞳は、嬉しそうに細められ弾んだような声を出す。
「うんっ、デートしたい!どこ行こっかぁ」
私もそんな悟へニコニコと笑顔を向けると、次いつ休みが合うかも分からない…それどころか悟はほとんど休む暇もないんだから、このチャンスを逃したらなかなか二人でデートをする機会もないかもしれないと思い明日のデートがとっても貴重な日に思えてくる。