第19章 長年の気持ち
「何。僕今人生で一番幸せな瞬間なんだよね。それを邪魔するとか覚悟できてんだろうな?クソみたいな用件だったら祓うぞ」
ちょ…誰と電話してるのか知らないけど…すごい事言うね。
いまだに私の腰へと腕を回し身体をピッタリとくっ付けている悟は、その電話の相手とは裏腹に、私を優しく見下ろす。
「はぁ?そんなの僕じゃなくても良いよね。つーかさっき僕の話し聞いてた?クソみたいな用件だったらオマエのこと祓うぞって言ったよね。それともマジビンタが良いのかな?伊地知は」
そしてそのままピッと電話を切った悟は、再び私を抱きしめるとニコッと笑った。
電話の相手…伊地知君だったんだ。可哀想に…
というか…
「今、電話途中で切らなかった?」
最後まだあちら側では何か話をしている途中だったように聞こえたんだけど…
「ん?いいのいいの。それよりもほら、さっきの続きしよ」
私の横髪に触れながら目を細めてくる悟の色っぽい表情が、私を真っ直ぐに見つめドキンっと心臓が音を上げる。
そして再び唇と唇が触れ合う…その瞬間…
ブーブーブーブー
再び鳴る、悟のスマホ。
それに一瞬お互いの動きを止めるも。だけどやっぱり悟はそんな事気にせず、キスをしようとしてくる。
でも…悟は平気でも、こんなに何度もブーブー近くで鳴っていたら私は気になって仕方ないわけで。
というか、何だか気も散ってしまうし…
「…悟、任務行って来な?」
近付いて来る悟の胸をそっと優しく押さえた。
その私の言葉を聞いた瞬間。悟の眉間にピキピキとシワがよる。