第19章 長年の気持ち
高専時代の時は、悟の乱暴な話し方に慣れていたはずなのに…当時とは全然違って聞こえるのは何でだろう…
「…ちょっと悟、落ち着いて!手、ッ痛いよ」
ギリギリと力を強めて来る悟に、私はブンっとさらに強い力で腕を振り払と、悟の握っていた手がやっと離れていく。
その瞬間、悟の口から小さな声が聞こえてくる。
「何でだよ…何でまた七海なんだよ。何でまだ忘れられないんだよ」
「悟…何言ってるの…?」
「苦しいんだ。もう誰かの隣で笑ってる姿なんて見たくない。僕以外なんて見て欲しくないのに…」
苦しそうに眉間に皺を寄せ、悟はズルズルズと私の肩へともたれるようにして額を当てると。
「リンが好きだ。もうずっと前から。ずっとずっとリンだけが好きだ。もう僕…オマエの事が好きすぎて…頭がおかしくなりそうなんだよ…」
……っ…
「どうしたら僕を見てくれる、どうしたら僕の隣にいてくれる、どうしたら僕だけを想ってくれる、どうしたら…僕を…好きになってくれるの…ッ…」
その悟の声は今にも消え入りそうで…
私は思わずキュッと唇を噛み締めた。
悟の肩が震えてる。悟の背中が震えてる。悟の手が…震えてる。
私は優しく悟の胸を押し、起き上がる顔を見上げると。
そっと白い目隠しへ手を触れた。