第18章 自分の想い
「高専の時、いつも私は五条さんが羨ましかったんです。あなたは私の恋人なのに、いつもあなたを一番笑わせているのは五条さんだった。いつもあなたの変化に一番に気が付くのもあの人だった。それに嫉妬してたんです」
苦笑いをする七海君は、昔を思い出すようにして空を見上げる。
「嫉妬したって仕方がないのに、あの人が羨ましくて…でもそれと同時に五条さんの強さに 真っ直ぐさに 自由さに私は憧れていました」
………七海君が悟に
「まぁ正直、尊敬出来ない所の方が多いですが」
そうボソリと呟いた七海君の言葉に、思わすクスリと笑ってしまう。
「でも、私はあの人に対して唯一尊敬してるところがあるんです」
七海君は空を見上げていた目線を下ろし、私へと顔を向けると。ゆるりと口角を上げる。
「いつだってあなたを一番に守ろうとしていたところです」
「…私を、一番に…守ろうとしていた…?」
「はい、それはもちろん呪いからも。外敵からも心も身体も全てのモノからあなたを守ろうと。そうしているように私には見えました」
呪いからも…心も身体も…
その瞬間、色々な事が頭をよぎる。
任務の時はもちろん。
寂しい時、辛い時、苦しい時…
いつも私の手をひいてくれるのは悟だった…。
「まぁ元恋人からしたら、こんな事言うのはどうかと思うし、あの人を手助けするみたいで嫌ですが…ずっと前から思っていたことがあるんです」
持っていた缶コーヒーへ一度口を付けた七海君は、真っ直ぐに私を見下ろすと。
「五条さんが最強になったのは、あなたの為なんじゃないかって」