第12章 二人の背中
「説明しろ、傑」
サングラスを外した悟が、いつもより低い声で傑の名前を呼ぶ。
「硝子から聞いただろ?それ以上でもそれ以下でもないさ」
「だから術師以外殺すってか!?親も!?」
二人の間を流れる呪力は恐ろしく重たい。
「親だけ特別というわけにはいかないだろう、それにもう私の家族はあの人達だけじゃない」
「んなこと聞いてねェ、意味ない殺しはしねェんじゃなかったのか」
いつだって傑は、誰よりも非術師の事を考えていた…それなのに…
「意味はある、意義もね。大義ですらある」
「ねェよ!!非術師殺して術師だけの世界を作る⁉︎無理に決まってんだろ!!できもしねェことをセコセコやんのを意味ねェっつーんだよ!!」
「傲慢だな」
悟の怒鳴り声と、傑の低い声だけが私の耳へと届く。
どうして…どうしてこうなってしまったんだろう。
どうして、こうならなければいけなかったんだろう。
「君にならできるだろ…悟」
その傑の表情は、どこか虚で…真っ直ぐに悟を見つめた。
「自分にできる事を、他人にはできやしないと言い聞かせるのか?」
………どうして…
「君は五条悟だから最強なのか?最強だから五条悟なのか?」