第11章 初夏の乾き
…………………
「自分の弱さと大事な女、天秤にかけんなよ」
「…最強のあなたには一生分からない感情でしょうね」
「あぁ、分かりたくも無いね。こんなウジウジした奴の気持ちなんて」
「あなたのそういう所が嫌いです」
「はいはい、そうかよ」
「五条さんなら守れますよね、リンさんのこと」
「だったらなんだよ、好きな女も譲りますってか?」
「………」
「アイツがそんな事望んでないのは分かってんだろ、リンに必要なのは守ってくれる奴じゃない、お前だろうが」
「死んで欲しいくないんです、あの人だけは…僕の側にいなくてもいいから…あの人だけは失いたくない。だからお願いします。五条さん…どうかリンさんを守って下さい」
「お前に言われなくても、俺はアイツを死なせるつもりなんか微塵もねェよ」
「…初めてあなたが、頼りになると思いました」
「失礼なやつ、後悔してもしらねェから。まぁアイツがもう泣かないよう祈ってな」
「あなたは泣かせないでしょ…だって誰よりも彼女を大切に思っているんだから…」
「フッ…七海は本当、生意気な後輩だよ」