第10章 雪の夜
「明日から、四日間の冬休みになる」
教卓の上で、夜蛾先生からそんな衝撃的な事を告げられる。
「はぁ?どうせ冗談だろ?」
ポケットに手を突っ込み、長い脚を組みながら椅子に座る悟が夜蛾先生を見上げる。
「冗談にしか聞こえないね」
「去年なんて四人で九州の任務先で年越ししたしね」
「あー!あの時は楽しかったよね!年越しゲームしたりして!任務は疲れたけど」
悟に続くようにして、傑、硝子、私が話し始める。
そんな私達に夜蛾先生は「ちゃんと話を聞け」と言ったあと
「今年のお前達の努力を評価し、年末年始の30日から2日までを冬休みとする事にした。貴重な連休だ、しっかり身体を休め新年からまた任務に励め」
え、嘘…本当に連休?四日も…?
私達は一瞬ぽかーんとした後、四人一斉に「「「「やったー!!」」」」と大きな声を出すとガッツポーズをした。
「連休?マジかよ!奇跡じゃね?」
「やったー!休みだー!嬉しいー!」
「悟にリンも、はしゃぎすぎだよ」
「夏油こそニヤ付いてるけどね」
「いえーい!」とハイタッチをする私と悟に、傑は呆れたように笑い、硝子は棒付きキャンディーを舐めながら「休み何するかな〜」なんて呟いている。
「しかし悟は、そんなにはしゃいでる場合じゃ無いんじゃないか?」
「あ?何で」
「年末年始は毎年本家で会食やら挨拶回りがあるって言ってただろう?高専に入学してからは任務があるから行かなくて済むなんて去年言ってたじゃないか」
悟はそんな事すっかり忘れていたのか、サングラス越しにポカーンとした顔をして見せると、その後すぐに険しい表情になってチッと大きな舌打ちをする。
「うっわー、さすが次期当主様。かったるい事この上ないね」
「じゃあ悟遊べないんだ、皆んなで何処か行きたかったのにー」