第9章 少しの変化
身体が重い………
瞼が開かない……
「ん…」
喉はカラカラで、頭が酷く痛い気がする。
ゆっくりを目を開き、光の眩しさに目を細めれば…消毒の香りのようなツンとしたものが鼻を掠める。
「……リン…」
そっと身体を起こし、名前を呼ばれその声のした方へ視線を移すと。
フワリと温かい熱に包まれた私の身体。
白髪の綺麗な髪が、私の頬を少しばかりくすぐる。
「さと…る…?」
気が付いた時には、私は悟に優しく抱きしめられていた。
「起きるの遅せェんだよ…心配させんな」
その小さな声は、どこか弱々しく儚気で…
「ごめんね。悟は無事だったんだね…良かった」
どうやらとても心配させてしまったらしい。悟がこんなに弱々しい声を出すなんて。初めて聞いたかもしれない。
ぎゅっと一度悟の背中に腕を回した後、互いの身体をゆっくりと離し、ベットサイドに立つ悟を見上げれば。
「…悟…」
彼のその表情は今までと何処か少し違うように見えて。
悟の纏う雰囲気が…
それは微かな変化なはずなのに。
まるで今までとは別の人のように…
私にはそう…映って見えた。