第14章 再会
この意味は深く考えないようにしていた。知ったところでどうにかなるものでもない。もうこんな荒唐無稽な恋は捨てて、前に進むべきだ。
「とにかくジョーとは切れた。永遠のサヨナラをしたの。おしまい」
めいいっぱい笑顔を作って返すとスミレさんはそれ以上はジョーの話をしなかった。アパートに着いて部屋に入る前に「ねぇ」とひとこと声をかけられる。
「ハロウィンさ、一緒に飲もうよ。ボブと3人でどう? その日はお店ないし仮装して渋谷出ちゃう?」
「ん。考えとく」
私がパリピ気質じゃないのを知ってて、スミレさんは普段こういう誘いはしてこないのだけど、よっぽど暗い顔してたんだろうな。
"ハロウィンは渋谷事変があった日"なんて考えてしまうくらいなら、騒いで時を過ごした方がいいのかもしれない。