第13章 ハロウィンの花嫁
はぁーっと悟にしては珍しい深いため息が漏れ出た。
「僕が義務感で婚約するような男に見える? 万愛は何をそんなに思い詰めてんの」
「だって……すごい綺麗な人だったもん。悟が好きそうなタイプだった」
「眼中にないし興味もないよ」
「そう…………でもこんな風に嫉妬しちゃう自分がますます術式を強くしてしまいそうで迷惑かけないか怖いの。うまく愛をコントロール出来ないし、私は結婚相手にふさわしくないんじゃないかって」
悟は足を組み替えて、私の顔をじいっと見つめた。私の言葉に何か裏でもあるんじゃないかって探るように真っ直ぐ見てくる。
「婚約を解消したいって思ってんの?」
「え?」
「僕と婚約すんの早すぎたーなんて思ってんのは万愛の方なんじゃない? あんときまだ19だったし、僕以外の男と付き合ってみたくなった?」
「別にそういうわけじゃ」
険悪なムードが立ち込める。
分かってる。悟は嫌がらせを言ったわけじゃない。
悟は私に婚約関係を半ば強制的に強いた事をほんの少し気にしているようなところがあった。
私は婚約に同意したけど、結婚なんて先の話でまだ考えられなかったんじゃないかって。