第13章 ハロウィンの花嫁
よし、メニューは決まった。
マーケットに入り、あれこれ食材を物色する。店内は親子連れの買い物客が目立っていた。ハロウィンの賑やかな飾りつけが子供達の気をひいている。
年長くらいの女の子がハロウィンのお菓子の詰め合わせ袋を手に、母親の顔を見上げていた。
「ママこれ買ってー」
「だめよ、さっきも買ったでしょ」
「お願い」
「ふたつも食べ過ぎよ」
「私のじゃなくパパの分だもん。パパだってハロウィン楽しみたいでしょ」
「……しょうがないわね。じゃあそれも一緒に買いましょ」
「やった!」
女の子は母親の同意を得ると、幸せそうにニカッと笑ってスキップしながらレジの方に向かって行った。
こういう光景を見ると少し憧れを感じる。6才でママと死別した私は、こんな風にママと過ごした思い出があまりない。
記憶にあるのは、呪具を売り歩くのに一緒について行って、行く先々でお菓子をもらった事と、襲われた時のことくらいだ。