第11章 硝子
万愛ちゃんが五条をどう思っていたのか?
そこは私から見てもよくわからなかったけど、星漿体任務から帰ってきて五条が覚醒したあの日、心配そうな顔して万愛ちゃんが高専に来たのを見た。
夏油が離反した直後は、何度か高専の寮で顔を合わせた。ずっと五条の側にいたな……。
五条が呼んだのか万愛ちゃんが自分の意思でそうしたのかはわからない。
だけど二人はそこから急接近した。元々相思相愛だったんだろう。
それから五条は寄ってくる女を全く相手にしなくなって、万愛ちゃんが高1の終わりを迎える頃には二人は付き合っていた。
「とうとう告ったか。長かったな」
「うるせ」
「よかったな。ずっと好きだったもんな」
「誰かに取られんのがヤなだけ」
「素直じゃないね」
そう言いながらも私はその日、ビールで五条を祝杯してやった。
もし夏油が今もここにいたなら、あいつも冷やかしながら五条の恋愛成就を祝っていただろう。