第11章 硝子
そうやって五条は自分の恋心を誤魔化していたのかもしれない。
そしてそんな五条がたいして好きでもない女の子にメールや電話を丁寧に出来るわけもなく、最後には女なんてみんな一緒ってぼやいていた。
「忙しいんだよねー」って電話してきた相手に棒読みで話してるのを見たし「毎日メールしろとか、昨日何してたとかうぜぇー。何でもいいだろ別に」ってだるそうにして、教室の机に足かけてたな。
五条ほど彼氏に向いてなさそうな男はいないと思う。
なんせガキで甘やかされて育ったマイペース坊ちゃんだ。男っぷりはあっても、女の子が喜びそうな恋愛的な気遣いが出来るとは思えない。
特別なのは万愛ちゃんだけだ。五条に近付いて来た女の子たちはみんな分かったんじゃないかな? 五条の心の中には特別な子がいるって。