第1章 プロローグ
羂索が一歩こちらに近付いた。
「君は弱いくせになかなかの邪魔者だな。五条悟が側においたのはこういうことだったのか」
天元様に次ぐといわれる羂索の結界術が私を覆う。ブラックホールに吸い込まれるように、体が浮遊し、無重力状態になった。
抵抗しようにも勝手に体が流されて自由がきかない。羂索が乗っ取っている肉体は傑さんだ。一度に二つの特級を相手にできるほどの力は私にはない。
羂索の呪力もできる限り吸い取って、呪霊操術は免れたけど、浮遊した体の流れは今も止まらない。
空間が歪み、体が回転し、視界がぐにゃりと変形した。ブラックホールの中央に吸い込まれる。
負けだ。このままあの世に送られるのだろう。