第1章 プロローグ
足を踏ん張り、体の奥底から捻り出すように術式を放つと、レーザーのような赤い閃光が、私の額の周りをぐるっと天使の輪の様に覆った。
右のこめかみあたりが焦げ付くようにジクジクと痛い。
髪は逆立ち、ゴオオオと地響きするようなけたたましい轟音と共に、地面が剥がされ浮かび上がる。辺りは切り取られた地が渦のようにぐるぐると舞っていた。
吸い取った特級呪物――獄門疆の呪力は、指で作られた三角形の間を通り、赤いレーザーに乗って絶え間なく私の脳内へと蓄積されていく。
代わりに消えゆく私のメモリー。