第10章 本当の出会い
それから万愛は4月からピカピカの1年生なんだとか、お団子が好きだとか、好きな色は黄色なんだとかどうでもいい話をしてきた。
呪術と関係ねえーし興味ねーけど、熱心に話してくるから一応聞いてはやる。
万愛の話を聞いている傍ら、隣で楽巌寺せんせーがつぶやいた。
「どんな術式を使うのかがさっぱりでな」
「見りゃすぐわかるけど使わねーことにはな……おいオマエ。やってみろよ、あんだろ? 術式」
万愛にそう訊ねるとお喋りをやめてひどく困った顔をした。
「どうすればいいのか」
「自分の体に刻まれてんだろーが」
そう言われても本当にわからないという風だった。
俺が見てわかったのは、普通の呪術師には見えない小さな炎のような熱を万愛の心臓の辺りから見てとったくらいだ。