第10章 本当の出会い
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突然、屋敷に、楽巌寺とかいうハードロックとはどう見ても不釣り合いな爺さんが、ギターかき鳴らしながらやって来た。
若いもんに負けとらんって言ってるけど、俺から見たらフツーに爺さんだ。
「悟くんに頼みがあるんだが」
「やなこった」
「おい、待たんか。糞餓鬼が!」
呪術界から来た大人の頼みごとなんて、ろくなことがねえ。どうせ権力争いか保身絡みだろ。
すたすた歩く俺の後ろをしつこく追いかけてきやがる。
「まるで口の聞き方がなっとらん。世話係はどうした」
爺さんが周りに言い放って近くにいた五条の人間がぺこぺこお辞儀するところを見ると、楽巌寺はそこそこ偉い奴なんだろう。
敬語なんか誰にも使ったことねーし、使おうなんて気はさらさらねーよ。俺が一番てっぺんだろ。
楽巌寺の爺さんは後ろからうだうだと話しかけてくる。何言われたってお断りだっつーの。