第3章 下着
突然始まった五条先生との同居生活。彼は恋人でもなければ友達でもない。数時間前に初めて顔を合わせた人だ。そんな人と同居することになるなんて、人生って何が起こるかわからない。
――知ってるけど知らない人が家にいる。
何だかとっても変な感じだ。それはきっとアイドルや芸能人が目の前にいる感覚とも違うんだろう。
だって五条悟は二次元のキャラクターで、異なる世界線に生きている人だから。
これはやっぱり夢を見ているんじゃないかと思ったけど、朝、五条先生の腕の中に包まれて、目を覚ました時の感触がまだ体に残っている。
背中に添えられた手はじんわりと温かくて、それは彼から伝わる体温で、血が通っているのだと感じた。私の肩を丸ごと包んでいた腕は、がっしりとしていて男らしかった。
これはリアルなのだと、夢でも幻覚でも、はたまたホームシアターの投影や最新のVRなんかでもなく、本当に生身の五条悟なのだと実感させられた。