第8章 五条悟のひとりごと
見れば見るほど君は彼女だった。
デートの間もずっと千愛の魂を見て、彼女といるような錯覚さえ起こした。そして都合良くマリカーの勝負に負けて、君の側にいるなんて言ったんだ。
それからの事はもう言うまでもないよね。
僕は渋谷デートの帰り道で、デートの練習だからじゃなく本当に君と手を繋ぎたくなって、手を取った。
風呂場で君にひとりの女の子ってどういう意味かと訊ねられて「僕にとって特別な子」って答えたのは、愛する彼女に対する思いと同じ意味合いも含んでた。
あまりに千愛は優しいからさ、性格の悪い僕は本気のキレ顔を見てみたくなって、試しに怒らせてみたら、雰囲気も怒り方も彼女とそっくりそのままで、思わず笑ったよ。