第8章 五条悟のひとりごと
獄門疆が開門して僕は赤い光に導かれこの世界にやって来たわけだけど、出会ったのが千愛じゃなかったら今頃、路頭に迷ってたかもしれないな。
そんな千愛に「お礼は何がいい?」って見返りを聞いてみた。
金のない僕に要求できる事なんてほとんどないのはわかってるけど、それでも何かしてくれってのが普通でしょ。
掃除とかおつかいとか雑用とかさ。ミーハーなら茈の格好してとか言いそうなもんだけどそれも言わない。
おそらく術式が使えない僕に悲しい思いをさせないようにしてる。
唯一返ってきた言葉が「絶対に死なないで」って。「戻ったらみんなを守って」って。
真っ直ぐな瞳でそんな事言われて、素直に僕はいい子だなって、そう思ったね。