第7章 急接近
勢いというのは恐ろしいものだ。
帰宅後もまだデートの余韻が残っていたのかもしれない。
雨に濡れて帰ってきた私と五条先生は素早く髪と体を拭いた。ウィッグを被っていた五条先生は髪はほとんど濡れていなかったけど、服は所々濡れている。
私も体が冷えていて、風邪をひいてはいけないとすぐにお風呂を沸かした。お湯が溜まると同時に声をかける。
「先生お風呂どうぞ。あったまって」
「千愛先に入りな」
「先生どうぞ。常に無下限発動してるんなら雨に濡れるってことに慣れてないでしょ?」
「千愛は慣れてんの?」
軽い押し問答になっている。
「……慣れてはないけど。でも先生はこっちで体調崩しても病院に行けないし」
「千愛も熱出したら仕事休まなきゃ行けないよ。困るでしょ」
言いあっていると、くしゅんと互いにくしゃみが出て、その5分後――私達は一緒にお風呂に入るという結論に至っていた。