第57章 ●#57 君しか見えない
入浴を終えリヴァイの部屋に戻ったリリア、ソッとドアを開けて中を見ると既にリヴァイは戻ってきていた。
直ぐにマーレに戻るのだろうか、カバンの整理をしているようだ。
「リヴァイ、戻ったよ」
「あぁ」
「もう戻る準備?」
「いや、探し物」
一体何を探しているのだろう、リリアも後ろから覗き込んだ。
するとあった、とリヴァイが何やら取り上げた。
それはたくさんの飴が入った入れ物だった。
「飴?」
「何故かマーレの街を歩いてるとくれんだよ。俺は食べねぇからいつかリリアにやるために貯めておいた」
リリアが噴き出し笑う。
何故かリヴァイはマーレに到着した直後から飴をよく貰う。
こんな事を口に出したら怒るので決して言えないが、小柄なので子供と思われているのかもしれない。
ただし後ろ姿に限るが。
「ほら、やる」
「ふふふ、ありがとう!」
貰った飴を机の上に置くとリリアはベッドの上に座った。
今日は直ぐにリヴァイもベッドに上がり、リリアの髪の毛に触れた。
「乾かしたか?」
「うん!もう一人でも乾かせるよ!大丈夫!」
そうか、とリヴァイが頭を撫でる。
その手つきがとても気持ちが良く、リリアは目を閉じた。
「ねぇリヴァイ?」
「ん」
「ギュッてしていい?」
「あぁ」
リリアはリヴァイの足の間に入るとリヴァイの背中に右腕を回して抱き着いた。
リヴァイも力一杯抱き返す。
ドクン、ドクンと二人の心臓の鼓動を感じた。