• テキストサイズ

【鬼滅の刃】屋烏之愛【新装版】

第6章 素直 後編【※錆兎】





「今…お前、…可愛い声、出してたぞ?」

「だ、出してないわよっ!」

思わず陽華が口元を抑えた。その行動に、錆兎がまた苛立ちが募る。

「なんだよっ。そんな声が出せるなら、出せよっ!なんでいつも、堪えてんだ!」

「…………」

陽華が顔を反らし、黙り込む。

「なんで、黙ってるんだ!…おい、こっちみろよっ!」

嫌がる陽華の腕を掴み、無理矢理自分の方に向ける。

「や、やだっ!」

そう小さく声を上げ、振り返った陽華の顔を見て、錆兎は思わず息を呑んだ。

「…陽華…お前、…今まで、そんな顔で俺に抱かれてたのか?」

汗ばんだ頬、赤く上気した顔、蕩けきって潤んだ瞳が、恥ずかしそうに錆兎を見詰めていた。

(……可愛い。)

「み、見ないでっ!」

陽華が、錆兎に見せるのを拒否するように顔を背けた。

「……なんだよ、そんなに俺に見せるのが……嫌なのか?」

陽華の態度が、また錆兎の心に暗い影を落とし、錆兎は感情を抑えられなくなっていた。言ってはいけない、わかってたけど、止まらない。

錆兎は陽華の手を乱暴に掴むと、自分の方に引き寄せた。

「…どうせ、他の男には、見せるんだろ?」

「…なんのこと?」

「だからっ!他の男には、抱き合ってして、善がって、そんな目をして、見つめるのか?って、言ってるんだよっ!」

「他の男って、誰よ!」

「顔も合わせたくない、大嫌いな俺とだって、やれるんだ。…熱を冷ましてくれる適当な奴がいれば、誰とだってするんだろ!!」

「っ!」





パァン!!





思いっきり、頬を打たれ、錆兎が頬を抑えながら、陽華を見た。

陽華は目を潤ませて、今にも泣き出しそうに、唇を震わせていた。






/ 393ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp