第6章 素直 後編【※錆兎】
〜エピローグ
「陽華、そっちへ行ったぞ!」
「了解、任せて!」
義勇に声を掛けられ、待ち構えていた陽華が刀を構える。そして木々の間から、現れた鬼に向かい………、
「お先っ!」
突然現れた錆兎が鬼の頚を、横から掠め取った。
「錆兎っ!!また、アンタねっ!」
いきなり現れた錆兎に、陽華が食って掛かる。しかし錆兎は気にする様子もなく、陽華の前に着地すると、ずいっと顔を近づけた。
「陽華、今日も可愛いな。好きだぞ。」
「なっ!?」
驚いて固まる陽華の唇を、錆兎が掠め取るように奪う。唇を離すと、あわあわと口をパクパクさせる陽華に微笑みかけた。
それに満足すると、また鬼に向かって走り出す。
それを全て見ていた義勇が、陽華に近づいた。
「義勇、アイツ何とかしてよっ!」
「いや、アイツはこうなると誰にも止められない。もう、諦めろ。」
「そんなぁ〜!」
顔を真っ赤にして、叫びだす姿を見た義勇は、陽華が錆兎に負けて、素直になる日も近そうだ。そう思った。
ー 素直 完