第32章 友の魂だけでも
大原「今は何とも言えねえな。こいつをもっとよく調べてみねぇと」
アイム「………」
ジョー「……頼む」
大原「…分かった。一緒についてきな」
ジョーは大原丈に付いて行く
アイム「ジョーさん…!」
ジョー「すまない……先に戻っててくれ」
アイム「………」
『………私、ついてく』
アイム「さんまで…」
『ジョーが悲しい目をしてた。側にいたい』
アイム「…!わかりました」
着いた場所は科学アカデミア
大原研究室に3人はいた
端末とパソコンを繋ぎ解析する
ジョー「………」
大原丈はため息をついて椅子にもたれた
ジョー「どうだ…!?」
大原「あのザイエンって奴は確かに天才かもな。それも、1番たちの悪い」
ジョー「……」
大原「人間の優れた能力だけを残し、後は全てを完全に機械化してやがる。改造されちまったら…二度と元には戻らない」
ジョー「………っ」
『………』
大原「残念だが、人間としては死んだも同然だな…」
ジョー「……そうか………やっぱり…っ…」
大原「このバリゾーグってのは?お前の友達だったのか」
ジョー「バカだな……戦うしかないのに…っ…先輩はもういないと…わかっていたはずなのに……っ」
ジョーの瞳から涙が零れた
ジョー「一瞬でも……救えるかもしれないなんて……」
『……っ』
大原「…バカなんかじゃねぇよ。大事な仲間だったんだろ?だったら…人間でなくなろうが…敵になろうが…救えるものなら救ってやりてぇ…。悩んで当たり前だろ…!あがいて当たり前だろ!」
ジョー「………っ」
大原「…なんてな。これは自分に言ってるのかもな」
ジョー「どういうことだ…」
大原「…昔の話だ。人間を捨てて…地球征服を目論んだ同級生がいた。結局…俺たちは…あいつらを救ってやることができなかった…」
ジョー「………」
大原「だから、俺はこの学校に戻って…今でもあがいてるんだよ…。若さで突っ走った学生が…同じ過ちを繰り返さないようにな…。それを、あいつらも望んでるんじゃないかと思ってな。あいつらの魂だけでも救ってやりたいからな」
ジョー「………魂…だけでも…。先輩の…魂……」