第63章 ❤︎ これなんてAV? 宮侑・治
「これが俺の…。サムのより絶対ええから?」
「そんなん分からへん」
“ほな行くで”の一声に部屋はしんと静まり返る。そして沈黙の途中でどこからともなく聞こえてくる車のエンジン音。音の流れに俺たちの思考も一旦停止。明らかに玄関の方に停車している。
「あ、お父さんたちかも…」
「嘘やろ!?このタイミングで!?」
「あのエンジン音、絶対そう」
「マジかい!?よりにもよって親父さんとか俺殺されるんやけど」
「早よ抜けって。俺も一緒に怒られるやん」
「ちょ、待てって」
「侑、悪いけど終わりな?」
「今からやん!?先っちょしか入ってへんのに」
「そんなんええからとりあえず退いて」
慌てるいちかに押し返されて全裸のツムがしょんぼりと力なく座り込む。
「……俺には神も仏もおらんのんかい」
「かもしれんな。諭吉単位でお布施包んだら仏さんくらいはきてくれんちゃう?」
「諭吉や財布におるかい。……後5分あったらなんとかなったのに」
「結局早漏やんけってそんなん言うてる場合やないな。とりあえず親父さん来る前にその汚いもんしまえて」
俺も着替えながら意気消沈した表情に向かってその辺に脱ぎ散らかしたパンツを投げる。ヒヨヒヨと舞ったパンツはツムまでは届かずに途中で力尽きるように床に落ちる。ツム含めその周辺が悲壮感が漂っていることに俺は笑いを堪えるのに必死やった。
普段、ツムが色々やらかしたらなんでか俺までセットで怒られる羽目になったり何かとサムに迷惑かけられてる俺から言わせてもらうとしたらアレやな…。
ざまぁwww
の一言に尽きる。ま、言わんけどな。
おわり