第62章 ❤︎ 射精管理 孤爪研磨
でもそんな時間も長くは続かない。夢心地から現実に戻されると激しい後悔が襲ってくる。起き上がって乱れた髪を手櫛で直し、ブランケットで体を包んだ。研磨は私に視線を移すことなくスマホの画面を見つめて黙り込んでいる。した後はおしゃべりではないけどあからさまに冷たい気がする。
「怒ってる?」
「別に」
「だって全然喋ってくれない」
「色々考えてた」
「何?私が調子に乗ってたから?」
「違う」
「でも絶対怒ってるでしょ?」
「怒ってない」
「じゃあなんで何にも言ってくれないの?」
「どう言えばいいか考えてただけ」
「え?何?」
「いちかに攻められるのも悪くないなって思ってた」
「へ?」
「いちかの意外な一面見れたし、だめって言われた時、正直、ヤバいなって思った」
「え、え?そうなの?でもごめんね。私、自分でも分からないけどなんかコントロールできなくなっちゃって」
「別にいいんじゃない、いちかの本性がそれならそれで」
「違うの。本性とかそういうんじゃない」
「いいじゃん隠さなくて。俺しか知らないんだし」
「でも…、今日のことは忘れてぇ」
「無理」
「お願い」
「あとさ、俺も男だから。負けないから」
「研磨は負けてないよ。今日は私が調子に乗っちゃっただけで。ごめんなさい」
「謝らなくていいから。この話はもう終わり。…明日、出かけるんでしょ?」
「お出かけできるの?」
「元々そのつもりだったし」
「研磨ぁ、ありがとう」
「だから今日はこのまま寝る。これ以上いちかと喋るとなんか墓穴掘りそうだから」
「え?なんで?」
「なんでもない。俺ももう疲れたから。言っとくけど明日寝坊したら置いてくからね。おやすみ」
そっけない言葉の後、私に背を向けてシーツに包まった研磨。照れ隠しなんだろうなって思う気持ち反面、濃厚だった時間を思い返すと寂しい気もする。明日朝目覚めた時も隣に研磨がいてくれますようにって背中にピッタリくっつくように身を丸めた。
〝おやすみなさい〟と目を閉じようとした瞬間、くるりと振り向いた研磨に抱きしめられて耳たぶに唇が触れた。
「今日は俺の負け」
その言葉でまた心臓は再び高鳴った。研磨の胸の中で込み上げる嬉しさを堪えきれない。好きって気持ちがまた深くなって少しだけ涙が込み上げてた。
ねぇ、研磨。今夜は私、眠れそうにないよ。
fin*
