第21章 ❤︎ ATTENTION‼ 松川一静 花巻貴大
「まっつん、倉庫の掃除どうする?床、びっしょびしょなんだけど」
「とりあえず床だけでも拭いとく…?」
「お、バスタオルあるじゃん…ってこれ及川のだけど洗えば問題ないよな?」
「香り付きの柔軟剤1本丸ごと入れとけば?」
「んじゃ、及川のタオルで証拠隠滅……っと」
「知らぬが仏ってことで今日のことも内密に」
「勿論。こんな経験しちゃったら俺元に戻れないかも」
「そん時はそん時でいちかに責任取ってもらえばいいよ」
「なるほど、逆にね」
「じゃあまたパパの書斎から持ち出してくるね?」
「悪いマネージャーだな」
「だってこんな気持ちいいと思わなかったんだもん。彼氏なんかよりずっといい」
「最高の褒め言葉だな」
「いつでも相手になってあげるから」
「うん…」
「うんって言っちゃういちか可愛い」
“ありがとう”と嬉しそうに微笑む表情にずっと感じていた緊張感が解れてアルコールが抜けた後のような気だるさが残る。
「でも誰にもいっちゃだめだよ。絶対内緒だからね?」
念を押すように薄い桃色の唇があざとく紡く。
用法要領を正しく守っても期待値を超える効果には誰も敵わないってことだな。
Fin.