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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一



8月最後の週末、この日の練習は一、二年のメンバーがメインだった。夏休みに入ってからは毎週のように練習試合続きで疲れも残っていた分、三年のいない解放感と緊張感のない練習もたまには悪くなかった。朝、うちでいちかに会った時は何も言わなかったくせになぜかいちかも手伝いに来ていた(花巻に誘われたらしい)

けどいちかの異変に気付いたのは午前の練習が終わる頃だった。

「いちかちゃん、ちょっと顔色悪くない?」

及川のそんな一言がきっかけだった。反射的にいちかに視線を送る。隅っこでスコア表を見ている姿は普段通りに見えるもよく見ればそんな気もする。

「気になるし聞いてこようかな」
「けどお前、溝口コーチんとこ行かなくていいのか?」
「あ、そうだった。手が空いたら来いって言われてたの忘れてた」
「なら先にそっちだろ」
「そうだね。あんまり待たせると切れるしそれは面倒だしそうする。いちかちゃんには後で声かけるよ。何となく気になるし」
「いつもと変わらないようにも見えるけどな」
「それは岩ちゃんが鈍感すぎるんだよ。無理してたりしんどい時に表に出さない子も案外多いから。いちかちゃんもそっちのタイプだと思うし」
「そんなもんなのか?」
「そこは俺と岩ちゃんの恋愛経験値の違いだから」
「んなもんねぇよ」
「あるよ。岩ちゃんは気付かないだけで…。女の子の繊細なとこに気付ける男じゃないとだめだよ?」
「いちいち突っかかってくんなお前はよ…」

「そんなつもりはないんだけどねー。とりあえず今から溝口君とこ行ってくる。一年は今基礎練してるから丁度いいとこで切り上げといて?」
「ああ、分かった」

及川の言葉につい乗っかかっていつもの調子で言い合いになりそうだった。けどいちかの様子の方が気になる。いらつく感情を堪えて及川が体育館から出たのを確認してから真っ直ぐにいちかのところへ向かった。

「おい、いちか。大丈夫か?」
「……え?」
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