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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


「うん…。こっちに来る前に信介には一君に振られて30まで貰い手がなかったらしゃーないから迎えにいったるなんて冗談も言われたりしてたけど、ほんまにずっと独り身やったら信介に土下座でもして嫁にもろてもらうパターンなんやろか…」

出た、シンスケ…。んなこと言って送り出したってことはいちかのこと好きだったとかそういうことなんだろうな。………会ったことのないけどなんか腹立つ。

「信介なりの私への餞の言葉やと思うけど向こうにいた時はかなり過保護やったらか」
「そうなのか?」
「元々優しい性格やけど心配性やし宮城に来るの最後まで反対してたんは信介やったし…。何やろ、面倒見のいいお兄ちゃんって感じで」
「それって…」

いちかのことが好きだから。で、確定なんじゃねぇの?それでもこっちに送り出すって俺には考えられねぇけどな。

「夏休みにはこっちに遊びに来るって言うてたしちょっと楽しみで…」
「夏ね…」

俺がいちかを選ばなかったらいちかはシンスケとかいう幼馴染のもんになるのか…。会った事もねぇし名前しか知らねぇけどそう考えるだけですげえムカつくわ。

「それまでには恋人まで昇格してたいなぁ…とか思ってるので是非前向きに検討しておいてください」
「ここぞとアピールしてくんな」
「チャンスがあるのに見過ごすなんて勿体ないから。星賀さんのことも気にはなるけどそもそも負ける気で勝負なんてせぇへんもん。そこは一君も分かるんやないですか?」
「まぁな」
「そういうことです」
「いちかみたいな女は初めてだよ」
「そら嬉しい。…おおきにです」

いちかは二個目のケーキに手をつけていた。俺は一個で十分なのにさすが別腹。前に及川が“何でも美味しそうに食べる子って可愛いよね”なんて言ったのが少しは分かる気がするわ。

「あ、一君も半分食べる?」
「いや、いらねぇ」
「ああもう、甘いもの食べながら一君といられるってだけで幸せ」
「そりゃよかったな」

今日は星賀とのこともあったし、星賀がまだ好きかもしれないなんて俺には気が重い話だし何考えてんだろうな。いちかくらい分かりやすい女の方が俺は居心地がいい。ま、17回目の誕生日に関西から来た女と過ごすなんて思ってもなかったけどな。


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