第1章 柱の名前は覚えましょう
今日は、担当地区外に突然の出動
隠しとしてまだまだ下っぱな私のお仕事は、
瓦礫を小脇に避けながら、救護者の確認今日も戦闘で崩れかけた家の中に入り、逃げ遅れた人がいないかみて回る。
「逃げ遅れた方は、いらっしゃいませんかー?」
返事はない。
傾いた障子の裏を確認しようと手をかけた途端、ガタッと軋んだ音とともに、家が…崩れる…。
私はギュッと目を瞑った。
…と同時に、私の体がフワッと浮いて…
(あ…死ぬってこんな感じなんだ…。鬼殺隊入ったのにお役に立てないまま、下っ端のまま死ぬなんて…)
今度は、ザっという音と共に地面に着いたような硬い感触。
(あれ?何…?)
「オイッ!!大丈夫かァ、ボサっとしてんじゃねェ!!」
「ん…。」
私が、怒鳴り声に反応してモゾモゾしていると
「不死川様!申し訳ございません。」
と今度は聞き慣れた先輩の声
咄嗟に目を開くと、明らかに怒っている傷だらけの人の腕の中だった。
(この人どこかで見たことあるよな…?そんなことより、この人隠しじゃない、剣士様だ。隠したるもの剣士様にはキチンとしなければ)
私は慌てて立ち上がり、
「不死川サン!? ありがとうございま…」
と言いかけると、咄嗟に先輩から
「不死川様だろ!」
と訂正された。
「不死川様!あの…きちんと指導しておきますのでご無礼お許しください。
オイ、木月、お前も不死川様にきちんとお礼しなさい!」
(先輩かなりビビってる。確かに顔怖い)
「不死川サ…、不死川様、ありがとうございました!!!」
言い終わったまま、ぼーっと不死川サンを見つめていると、先輩に頭を押さえつけられおじぎさせられた。
だけど私はまだ、ぼーっとしていて、何故か頭の中で
(不死川サン、ありがとう…)
と繰り返していた。
不死川さんは、おじぎをしている私たちに
「あァ…、無事ならいい。気をつけろォ」
と言って帰っていった。