【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第1章 遭逢
side.三ツ谷隆
コンビニで買い物をして外に出ると、すっげぇ旧車が止まっていた。
これって廃盤もんじゃね?
すっげぇピカピカ。
めちゃくちゃカッコイイんだけど。
「私の単車に何か用?」
目を輝かせて見ていると、急に声を掛けられる。
その女を見て、俺は思わず息を飲んだ。
17年生きてきて、ここまで破壊力のある美人を。
俺は見たことがなかったからだ。
なんつーか。
こう。
心臓を“ガッ”と鷲掴みにされたような感じ。
「ねえ?聞いてんの?」
ボケッと彼女を見ていると、目の前で指を“パチンッ”と鳴らされた。
「ああ、悪ぃ…。これ旧式だよな?」
「そうだろうね。父親の遺品だし」
今、サラッと。
すげぇ重要なこと言わなかったか?
まぁ、俺も親父いねぇけどさ。
「なぁ?ちょっと転がしてもいい?」
「やだよ。盗まれたくない」
ツンと突っぱねる女。
確かに。
そうだよな。
見ず知らずの男を、こんな高いバイクに乗せるわけねぇか。
「じゃあさ。友達になんねぇ?」
「何それ?ナンパ?」
射抜くような目つきで俺を見る。
ずっげぇキレイな瞳。
思うにさ。
この時、既に俺の心はお前に射止められたんじゃないかな?