【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第1章 遭逢
1974年式。
ホンダCB400FOUR。
誰もが憧れる旧車。
今は亡き私の父が。
高校生の時に初めて買った単車だ。
譲り受けた私も。
このマシンをこよなく愛している。
今日の風は気持ちがいい。
走りたい。
―Break down―
「エマ。私。ちょっと単車で流してくる」
「えっ!?でも今日新学期でしょ!?学校は!?」
「んー。分かんない」
「ちょっとっ!名前ってば!」
“ヴォン”
エマのお小言をマフラー音でかき消して、愛車に跨る。
「行ってくる」
「全く…仕方ないなー。名前は…」
だって。
ほら。
やっぱり気持ちいい。
私の父は数年前に交通事故で他界した。
母は女手一つで私を育てている。
その母も今は海外だ。
ボロくて小さいアパートに一人暮し。
今日から高2になったけど。
学校はサボりがちで、自由気ままに生きている。
と言っても、テストは学年首位のオールA。
じゃないと奨学金貰えないから。
父が遺したこの単車を、何よりも大事にしている。