【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第3章 抗争
side.三ツ谷隆
今にも崩れ落ちそうな名前の腕を引き寄せて。
ぎゅっと強く抱きしめた。
今、この手を離したらダメな気がする。
「名前」
「………」
「俺。お前のことが好きだよ」
「………」
「だからバイバイなんて言うなよ」
「………」
「俺は名前の側にいたいんだけど、それも嫌か?」
「………」
肩が震えてる。
多分、これ泣いてるよな?
そんな風に泣くなよ。
声殺さなくてもいいじゃん。
もっと声出して泣けよ。
それとも泣けねえの?
痛々しくて見ていられなかった。
「お前が必死になって、エマのこと守ったの知ってるよ」
「………」
「だからさ。俺じゃ頼りねえけど、俺がお前を守るってのはどう?」
「………」
お前が何でそんなに閉鎖的なのか知んねえけどさ。
誰だって甘える場所が必要だろ?
「今日からお前は俺の彼女。何も言わねえから決定な?」
「………はっ?」
漸く顔を上げた名前の目は真っ赤で。
その目じりには、やっぱり涙が溜まっていた。
随分と不器用に泣くんだな。
お前、喧嘩強いし。
頭良いし。
美人だし。
正直、高値の花だと思うよ。
それでも人は一人じゃ生きていけねぇから。
お前が作った心の壁。
俺がぶち壊してやるよ。