【東京リベ】Break down【三ツ谷隆】【ドラケン】
第15章 Never say good bye
side.三ツ谷隆
言いたいことはたくさんあった。
何で妊娠したこと黙ってたんだよ!とか。
何で黙ってカナダに行くんだよ!とか。
なのにさ。
お前の顔見て、抱きしめて、キスしたら。
そんなの、もうどうでもよくなっちまった。
「俺さ…夢だったデザイナーの道。しっかり歩いてるよ」
「うん」
「なあ?お前の夢は?変わってねえ?」
「変わってないけど。何で?」
それを聞いて、安心したよ。
お前は変わってねぇって。
「俺さ…もう1コ。夢できたんだ」
「へぇ。今度は何?」
「俺の夢はお前」
「私?」
「うん。名前をお嫁さんにしたいんだ」
「…そっか…」
「俺じゃ幸せにできねぇかな?」
「正直に言っていい?」
その言葉に“どくんっ”と心臓が高鳴る。
「最高に幸せ」
「マジ?」
「嘘ついてどうすんの?」
今まで見た名前の笑顔の中で。
一番キレイだったと思う。
「好きだよ。名前。大好き」
「私も」
俺たちは抱きしめ合って、最高に甘いキスをした。
あの時出会ったすっげぇ面白い女は、
面倒くさがりで、可愛げなくて、短気で、凶暴な女で。
いつの間にか、すっげぇ大切な女になってた。