第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん
俺は神だとか運命だとか、そんなものを信じるタイプの人間じゃない。んなもんに縋る位いなら、それを掴み取る努力を惜しみなくする方がよっぽど現実的で、実現性もある。
それでも、あの日。仕事から帰って、遅い夕飯を1人リビングで食ってた俺の横で雑誌かなんかを読んでた母ちゃんに
”実弥の誕生花はねぇホトトギスって花なの。【永遠にあなたのもの】なんて花言葉を持ってるロマンチックな花よ。見た目はあんまり可愛くないんだけどね”
そう言われた途端
ブワッ
まるで花弁が舞い上がるように前世の記憶というものが俺の頭に蘇ってきた。
俺はじっと睨むように、母ちゃんが開いている
"美しい花言葉*誕生花特集"
なんて本来であればなんの興味を抱かないはずの雑誌の1ページ、紫色の斑模様の、母ちゃんのいう通り、そしてあの時の自分も思った通り可愛いとは言えないホトトギスの花の写真を見ながら、遠い遠い昔に思いを馳せた。
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頭のおかしい女だと思った。
"…っ好きです!好きなんです!絶対に!絶対!私が毎日不死川様を笑顔にします!幸せにします!だから私に、不死川様の残りの時間を全てください!"
名前も知らなければ顔も見たこともない女にそんな事を言われ、そう思わない奴がいるんだろうか。いんのであれば言ってやりてェ。
馬鹿かァお前は?
と。
その後も、顔を合わせるたびにきゃんきゃんと犬っころみたいに纏わりついてきて鬱陶しいとすら思っていた。
だが毎日毎日飽きもせず、好きだの、側にいさせろだの、終いにゃ嫁にこいだの…その馬鹿みたいに真っ直ぐな気持ちをぶつけられることに、鬱陶しさ以外の気持ちを抱くようになった。
受け入れないことがこの女の幸せだ。
確かにそう思ったはずなのに。