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タイムカプセルの一ヶ月【リヴァイ/進撃の巨人/現パロ】

第5章 5


リヴァイと手を繋いでベンチに座っている。
寒くて凍えそうだが家に帰りたくない。
お互いほとんど口も開かず、このひと時を噛み締めていた。

新しく恋が始まるときというのは何でこんなにも世界が輝いて見えるのだろう。

頭上の空はどんよりとしたグレーに覆われているが、それすらもキラキラと眩しいくらい
に輝いていた。

一方のリヴァイは普段と変わらない少し不機嫌そうな無表情だ。
だけど繋いだ手からは温もりが伝わってくる。

「そういやあ今日は誕生日なんだが」
「え?」
「俺の。30歳の。」
「あれ、そうなんだ。おめでとう三十路」
「そうじゃあねえだろうが」
「ん?」

答えがお気に召さなかったらしい。
リヴァイが12月25日が誕生日というのはもちろん昔から知っていたが、祝いの言葉を送るタイミングを逃してこの時間まで来てしまっていた。
誕生日をいつまでも覚えているなんて、ストーカーぽくて言い出せなかったのだ。
まさか自分から申告してくるとは思わなかったが、とりあえず一言「おめでとう」と言えたことに少し安堵する。

しかしその次のリヴァイの言葉はまた予期せぬことだった。

「何かくれ」
「えっ?プレゼント?
なんにもないよ!ごめん、用意してない」

リヴァイは口の端を吊り上げて、意地悪な笑顔をしていた。

「じゃあキスで我慢してやる」
「なっ…」

そう来たか。
顎に手をかけられ、顔と顔が近づく。

「キスしたいなら、そう言えばいいのに」

小声で不貞腐れて見せると

「お前の色んな顔を見るのが、楽しくてな」

そう言って優しく口付けた。


冬空すら溶かしてしまいそうなほど、甘く熱い二人の時間。

もうすぐ新しい年が始まる。
好きな人とスタートする一年だ。
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