タイムカプセルの一ヶ月【リヴァイ/進撃の巨人/現パロ】
第3章 3
「バレンタインでリヴァイにあげるチョコ手作りしてさ、私に味見してくれって頼んで…
いざ味見したはいいけど石ころみたいに硬いチョコだったりさー」
「…そうだっけ?」
「それを渡すって言ってバレンタインの日超気合入れておしゃれして登校したのに、その日に限ってリヴァイ熱出して休んだりして…」
「…それって6年生の時?」
「そう」
「…何となく覚えてるかも…」
思えば、幼くて単純だが、一番純粋な恋だった。
それからそれなりに恋愛経験を重ねてきたが、どれも最後には苦い思い出になってしまっている。
思い出として取り出して綺麗だなと思えるくらいには、歳を取ったということだろう。
「運動神経がいいとかさ、そんな可愛い理由で好きになってたんだよね。リヴァイのこと」
「まあリヴァイはバケモノみたいにスポーツできたからねえ」
とハンジがカラカラ笑った。
「ところで、ハンジはクリスマスのタイムカプセル掘り起こすやつ、行く?」
これもハンジに会う時絶対話そうと思っていた話題だ。
むしろ今日のメインテーマと言ってもいい。
「タイムカプセル?ああ、あれ、今年かあ…!」
「そうそう」
「あかねは行くの?」
「うん」
「なら私も行こうかなあ」
「ハンジ、クリスマスはモブリットさんと過ごさなくていいの?」
ハンジの彼氏の名前を出す。
まだ会ったことはないが、ハンジの会社の後輩で彼氏と言うよりはハンジの母親的存在らしい。
そんなポジション、きっと気苦労が多いだろうなあ。と顔も知らないモブリットさんを憐む。
「ん〜まあ、モブリットとはいつでも会えるしね」
クリスマスに執着しないのがハンジらしい。
それならばその日は一緒に小学校まで行こうと、ハンジと約束した。
「ねえ、ハンジはタイムカプセルの中身なんて書いたか覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。研究者になれますように、だった」
夢を立派に叶えた友人のことが、とても誇らしかった。