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茨の道を行きし貴女へ【H×H】

第1章 血海×秘宝


 クラピカと私は人気のない場所に移動して、そこでしばらく休むことにした。クラピカの緋色の目はあまりに美しいものだった。その緋色が鎮まると、クラピカは落ち込んだようでぐったりと壁にもたれかかった。

 「貴方が私と同じ境遇だといったけれど、それはその綺麗な瞳のせい?」

クラピカは寂しげにああと頷いた。

 「緋の目、クルタ種族の特質を示す。感情が激しく高ぶると瞳が燃えるような緋色に変わるんだ。」
 「クルタ族…聞いたことある。長老様の語りで、緋色の目になるととても強く成る種族だって」
 「私はそのクルタ族の生き残りだ。同胞の亡骸は全て目をくりぬかれていた。幻影旅団の仕業だ」

 その瞳がまた緋色になるのではないかと思う程クラピカは唇をこれでもかという程かみしめた。

 「私はこの手で幻影旅団を捕らえ、必ず同胞の目をすべて取り戻す」

 ふいに私はジグニスが話していたことを思い出した。魔獣のジグニスはいたって真剣に私に「復讐はね、はちみつより甘い香りがするんだ。後味はどんな苦虫よりもまずい」といっていた。

 「それでもいいかも」

 クラピカは私に無垢なまなざしを向けた。

 「ハンターになったら、クラピカの手伝いさせて」

 「何故?確かに君は私と同じく同胞の無念を晴らすために、
幻影旅団を探すだろう。だが、最終的に私と君とでは目的が違ってくる」

 「私、親友をこの手で食べたんだ」

 クラピカはその発言に押し黙りはっと私の顔を見た。

 「秘宝へいざなう花びらの鉱石、私達守護者からは感情の高ぶりでそれが採取できてね。それは決して敵にわたらぬよう私達を操る何かがかかっていた。魔獣の親友で、家族より長い年月を彼と過ごした。私は何かに操られた。これ以上悲しかった…自分を怪物と思った一瞬はないよ。」

 私は壁をけって、船の方向へとゆっくり歩きだす。

  「私はコシュカ族のまえに親友がやりそうなことを、やろうと思ってる。それがクラピカに協力する理由」

 クラピカは曖昧な、どこか柔らかな表情で私の差し出した手を握り返したのだった
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