第1章 彼女の憂鬱
私の母はひどく愛に飢えていた。
そのため、母には常に恋人がいた。
けれど、どの恋人もあまり長くは続かなかった。
しかし、母は容姿がとても優れていた。
なので気づくとすぐに新しい恋人を作っていた。
母はいつも恋人優先で、
私を置いて数日家を空けることなんて日常茶飯事だった。
でも、私は母に愛されているという自信があった。
母は男に捨てられる度にいつも私にこう言っていたから。
「ママは雪さえいれば何もいらない。愛してる」
7歳の夏のある日、母は私を寝かしつけながらまたあの言葉を吐いた。
しかし、次の日から母はいくら待っても帰ってこなかった。