【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第1章 それより前の日
「ポーラ!」
呼ばれて振り返ると、同期のエマが子犬のような笑顔を向けていた。
「見て!リヴァイ兵長よ!」
「え、どこ?」
「ほら、あそこの背の高い男性の横!」
エマの視線の先へ目を向ける。
本当だ、リヴァイ兵長だ。
視界に入った瞬間に胸が高鳴る。
(今日も素敵…かっこいい)
切長の目元が涼やかで、太陽の光を浴びる黒髪は艶々としている。
横に立つエマもうっとりと兵長を眺めているのだろう。いつものことだ。見なくてもわかる。
「ほら、リヴァイ同好会のおふたり!もう行くよ!」
「「はあーい」」
他の同期に声をかけられ、渋々その場から歩き出す。
兵長たちは歩くのが速い。
もうすでに豆粒みたいな大きさだ。
ふと、兵長が振り向く。
(えっ…?)
ほんの少し、目が合った気がした。
(まさかね。リヴァイ兵長のような人が、私みたいな新兵を気にかけることなんて、あり得ないし)
それでも、兵長と目が合ったかもしれない、
そう思うだけで気分がふわふわした。