【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第10章 4ヶ月後
「ポーラ、もしかしてあなた…」
「エマ、ごめんね。何があったかは言えない」
「…」
エマの言葉を遮る。
けれどもエマも引かなかった。
「言って。夜中に目が覚めたらあなたがいないから、私心配で…こうやってベッドを抜け出してきたの。
私がどんな思いでポーラを探していたか…わかる?」
「ごめん、エマ。心配かけて」
「いいの、心配するのは私の勝手よ。
でもポーラが泣いてるなら話は別。
何があったの?何で泣いてるのよ…」
今や、エマの声にも涙が滲んでいた。
泣かないでエマ。
あなたに隠し事をする私なんかのために、泣かないで。
「エマ、大丈夫。
私は確かに寂しくて、辛くて泣いてるわ。
でも今起こったことに対して、後悔はしていないの」
「…」
泣き止んだ目から、また一筋涙が落ちた。
鼻の奥がツンとする。
「エマ。私ね、大事な人の幸せを願ったの。
ただそれだけのことだよ」
廊下の窓から薄明かりが差し込む。
エマの顔は影になっていて、表情が読み取れない。
ここまで言って、リヴァイ兵長のことを指していると気づいただろうか。
それとも別の人のことだと思ったかもしれない。
どこまでエマに勘付かれているかわからなかった。
「それなら、いいんだ」
エマの小さな声。
「部屋に戻ろう。今日も冷えるわ」
私への追求を諦めたその声は、それでも涙を滲ませて潤んでいた。
(エマ、ごめんね…)
私たちは無言で部屋へと向かって歩き出した。