【R18】私の心は私のもの【リヴァイ/進撃の巨人】
第8章 ガールズトーク
「にしても、エマとは対照的に最近のポーラは兵長のこと煩く言わないわねえ」
「確かに、入団当初は毎日『今日の兵長』って、その日見たリヴァイ兵長について煩く語り散らしてたのに」
痛いところを突かれた。
確かに私は、兵長と関係を持ってからあまり兵長の話題を出さなくなった。
怪しまれてもいけない。
私は怯えた顔をして、少し大袈裟に言った。
「だって…ほら。
あの恐ろしいトイレ掃除を思い出すから…」
あのときの話は、もはや私の鉄板ネタとしてこのメンバーの中で染みついている。
ビアンカとマリアは腹を抱えて笑い転げた。
エマは静かにマグカップを傾けていた。
そんなエマの様子に少し違和感を覚える。
あれ、エマ?
やはり、リヴァイ兵長を本気で想っているエマにとっては、罰としてトイレ掃除をさせられたこの話でさえ面白くないのだろうか。
暗い気持ちが顔を出す。
…本当は、トイレ掃除ではなく強姦されてました、なんて知られたら…
エマはリヴァイ兵長に幻滅してしまうだろう。
もしかしたら私のことも嫌いになってしまうかもしれない。
視線を感じたのか、エマが私を見て目を少し見開いた。
そしてその瞬間大きく顔を歪めた。
「うへぇ…私、ちょっと酔っちゃったかもぉ…
兵長のことではしゃぎすぎたぁ…」
「えっ!?ちょっとエマ、大丈夫?」
「そういやあなたお酒弱かったわね…」
「トイレ行ってきたら?」
エマの背中をさすってやると「ううう」と情けない声が聞こえた。
よかった、エマは酔ってしまったのか。
エマに対する違和感は私の思い過ごしかもしれない。
私たちは兵士で、必要以上の馴れ合いはするべきで無いのかもしれない。
でも同じ訓練をこなし、同じ釜の飯を食べ、一緒の死線を潜り抜けた仲間であり戦友であるみんなと、ずっとこうして笑い合っていたい。
私のささやかな望みだった。