第1章 シンデレラ
ドラケンはこの草履の持ち主を探しているのです。そうして、すぐに城から民へおふれが出ました。
「王子がこの草履の所有者を探しておられる。試したい者は履いてみろ」
城の使いの者がマイキーの家にもやって来ます。イザナとエマが試しますがサイズが合いません。
「マイキーにも履かせてやってよ」
エマの懇願もあり、マイキーが試すことになりました。
すると王子の側近のキヨマサ、レッドがマイキーに近付いてきます。
「ああ?てめえ誰だ。そんなナリで図々しいヤローだなぁ?」
側近達は汚い身なりのマイキーを見て、招待客のはずがないと思ったようでした。
「テメーみたいなのが城のパーティーに来れるワケねーだろが」
「バット持ってこい!」
不穏な空気になり、近所の見物人達が固唾をのんで見守っていると、低い声が響きます。
「おいキヨマサー、住民が引いてんぞ。いつからそんなにエラくなったんだー?」
王子ドラケンの登場に見物人は益々増え、皆が見守るなかマイキーが試すと、草履はマイキーの足ぴったりに履けました。
「これは俺の草履だ。昨日落としちまって困ってたんだよ」
「お前、名前は?」
王子がマイキーに穏やかに話し掛けてきます。
「マイキーだ」
「サイズ…ぴったりだな」
その時、怒られたのが気に入らなかったのか、背後から姑息にドラケンを狙っていたキヨマサが短剣を構え飛びかかりました。その動きに気付いたマイキーは、キヨマサにハイキックをぶち込みます。
「がはあっっ」
「…誰だお前。なに王子に楯突こうとしてんだよ」
「…いい蹴りだな」
キヨマサをぶっ倒す蹴りを見て、ドラケンは確信したようでした。
「やっぱりお前が昨夜のハイキッカーだ、マイキー」
「俺を認めてくれるのか」
「昨夜はマジで助かった。トップの長内ノしたのはお前だろ?愛美愛主の奴らももう攻めてこねえ。東京卍国もひとまず安泰だ」
「それは良かった。不良の力も役に立つだろ?」
二人はお互いを見つめ微笑み合い、すっかり意気投合しました。